成田市御案内人活動報告

2021年12月26日(日)
第2回成田市歌舞伎講座「歌舞伎俳優の世界」

市川宗家と成田市の絆の深さを、日本の伝統芸能・文化を通して学んでもらうことにより「歌舞伎のまち成田」の魅力やその取り組みを発信することを目的に行われた歌舞伎講座。

今回の歌舞伎講座では、多方面でご活躍されている歌舞伎俳優の市川九團次さんに「歌舞伎俳優の世界」をテーマにトークショーを行っていただきました。講座の内容の一部をご紹介いたします。

市川九團次

1972年生まれ、千葉県出身。1998年大阪松竹座で坂東竹志郎を名乗り初舞台。2005年、四代目坂東薪車を襲名する。2014年に市川海老蔵門下となり、市川道行を名乗る。2015年1月に新橋演舞場『石川五右衛門』のヌルハチ役で四代目市川九團次を襲名。屋号は高島屋。

トークショー

まず始めに歌舞伎の歴史や、女形を演じる際の歩き方や姿勢の作り方についてお話しいただきました。



歌舞伎俳優になったきっかけは

九團次さん:高校卒業時に進学や就職ではなく周りとは違ったことがしたいと思い、現代劇の俳優を目指すことにしました。ミュージカルのオーディションに受かり、タップや日本舞踊、チャンバラなど様々な稽古をしていましたが、20歳の時、着物を着てお稽古をすることに夢中になり、時代劇専門の役者になろうと決意しました。

スーパー歌舞伎に出演した際、歌舞伎の素晴らしさに感動し歌舞伎俳優を意識するようになりましたが、この時点ではまだなれるとは思っていませんでした。歌舞伎のようなことをやる劇団を自分で作りたいと考え、修行のため全国旅回り一座に3年間入りましたが、ハードな日々が続き身体を壊してしまいました。やっとの思いで回復した26歳の時、やはり歌舞伎俳優の道が諦めきれず、スーパー歌舞伎で知り合った大阪の師匠の元に弟子入りをし15年程修行をしました。その後東京に戻り海老蔵一門に入り今に至ります。

お弟子さんの仕事

続いて九團次さんのお弟子さんである市川九一朗(いちかわくいちろう)さんにもご登場いただきました。
九一朗さんにはお弟子さんとしての1日の仕事についてお話しいただきました。

九一朗さん:舞台がある時は2~3時間前には楽屋に入り、九團次さん愛用の浴衣にアイロンをかけたり衣装の準備をしたり、円滑に動けるよう裏方の仕事がメインになります。九團次さんと一緒に舞台に出ることも多いので、その時は裏方の仕事が終わった後自分の化粧をし、九團次さんが舞台に出ている時は裏で動きを見て勉強しています。



黒衣について

九團次さん:歌舞伎の舞台は黒衣がいないと、どうにもならないことがたくさんあります。役者が脱いだ着物や小道具大道具を片付けたりと、非常に便利な役割をしてくれます。舞台を縦横無尽に動く黒衣ですが、歌舞伎の中では見えないものという勝手な約束事があります。わかりやすく言えば透明人間といったところです。



立廻り

九團次さん:立廻りとはいわゆる剣劇、ちゃんばらといった歌舞伎の戦闘シーンのことです。立廻りにはいくつかの決まった型があり、それらを組み合わせて一つの殺陣を作ります。

今回はその中でも代表的な「山形」、「天地」、「打ち込み」などを披露してくださいました。



扇子の使われ方

九團次さん:お稽古ではほとんど着物と扇子一本で全てを表現します。刀や傘、煙草など、様々な物を表すことができます。



見得について

九團次さん:物語が一番盛り上がったところで役者は見得を切ります。見得は、元々お客様の注目を集めるためにできたと言われています。

5名の方に前に出ていただき、実際に見得を体験してもらいました。



舞踊「三番叟」

「三番叟」は五穀豊穣や無病息災、そういったものを祈るいわば儀式的な舞踊です。今回は特別に九團次さんに踊っていただきました。


参加者の声
〇歌舞伎役者の方を身近に感じることができました。お話がとても上手で引きつけられ、時間があっという間に過ぎてしまいました。もっとお話を伺いたかったです。踊りもすばらしかったです。九一朗さんも頑張ってください!!
〇楽しいお話をありがとうございました。九團次さんや九一朗さんの舞台を楽しみにしています。
〇歌舞伎の世界とはどのようなものなのだろうとずっと思っていたが、歌舞伎の歴史や市川さんのこと、最後に実際に踊りを見せてもらうなど、歌舞伎のおもしろさ、魅力、奥深さが感じられた。