成田市御案内人活動報告

2019年4月25日(木)
「市川海老蔵 古典への誘い」成田公演

少しでも多くの方々に日本の伝統文化を身近に感じていただきたいという市川海老蔵丈の思いから始まった「市川海老蔵 古典への誘い」。

成田市でも市川宗家との深い結びつきを多くの方に知っていただくため、今年も成田国際文化会館で、成田市御案内人の市川海老蔵丈による歌舞伎公演を4月25日に開催いたしました。

ロビー内に設けた「成田市観光PRブース」では、海老蔵丈の出演による成田の観光PR動画を放映したほか、海老蔵丈が等身大となるよう拡大した大型のタペストリーの掲示などで、皆様をお出迎えいたしました。

十三代目市川團十郎白猿の襲名を発表されたことや平成最後の歌舞伎公演とあって、当日は天候があまり良くないにもかかわらず、開場前から沢山のお客様がお待ちしておりました。

今年の古典への誘いでは、歌舞伎十八番の内『嫐(うわなり)』が上演されました。

『嫐』は後妻のことで、室町時代、離別された前妻が、女友達と一緒に後妻の家を襲うと、後妻のほうも女友達を集め、そこで乱闘騒ぎになるという「うわなり打ち」という風習があったそうです。「うわなり」の漢字も「男」を二人の「女」が挟んでいます。
歌舞伎の演目での『嫐』はこの風習を劇化したもので、初世市川團十郎とまだ幼少の二世團十郎によって、1699年(元禄12年)に初演されました。 この時の二世市川團十郎は怨霊(おんりょう)の取りついた呉竹(くれたけ)という娘(むすめ)の役で評判だったそうです。
この作品は資料が極端に少なく、初演された際の評判記のわずか数行の記事から構想し、以後上演の度、脚色が施されてますが、男性を二人の女性が取り合い、先に居た女性が嫉妬するという形は変わりありません。近年では、2015(平成27)年の「EBZO ICHIKAWA Ⅺ'S JAPAN THEATER 2015」(シンガポール)公演において復活上演したものを、歌舞伎脚本家の松岡亮氏と海老蔵丈が改訂を重ね国内での再演となりました。

今も昔も変わらない、男女の姿をコミカルに描いた展開に、観劇されたお客様も満足した様子でした。