2018年9月22日(土)
「市川海老蔵 古典への誘い」
少しでも多くの方々に日本の伝統文化を身近に感じていただきたいという市川海老蔵丈の思いから始まった「市川海老蔵 古典への誘い」。
成田市でも市川宗家との深い結びつきを少しでも多くの方に知っていただくため、成田国際文化会館を会場として歌舞伎公演を毎年実施しており、今年で3回目となります。
今年も会場には、「歌舞伎のまち成田」を発信するための様々なアイテムを準備して皆様をお出迎えしました。
こちらのパネルは、成田山開基1080年祭記念大開帳をお祝いして、市川海老蔵丈と勸玄さんが成田山表参道をお練りし、大本堂前で海老蔵丈が奉納演舞を行った様子などをパネルにしたものです。
裏面には「歌舞伎のまち成田表参道全図」となっており、歌舞伎をモチーフとしたモニュメントなど、表参道に散りばめられた歌舞伎スポットをマップに掲載して紹介しています。
成田山開基1080年祭のお練りの際の動画上映や、昨年度のゆるキャラ®グランプリでグランプリを獲得したうなりくんの隈取のぬいぐるみ、平成29年に実施した歌舞伎講座「歌舞伎の大道具」の中で実演していただいた襖絵を設置して、皆様をお出迎えしました。
開場時間前、ホールには心待ちにしていた大勢の方が早くから集まり長蛇の列が出来ていました。
今年の「古典への誘い」では、歌舞伎十八番の内『蛇柳』が披露されました。
蛇柳とは高野山にあったと伝わる柳の木のこと。「弘法大師が、悪さをする大蛇を祈りの力で柳に変えた」とも伝わります。
現在、高野山にはこの柳はありませんが、「蛇柳供養塔」が建てられています。
『蛇柳』が初演されたのは今から250年ほど前のこと。
もとは『百千鳥大磯廓通(ももちどりおおいそがよい)』という長いお芝居の一部(舞踊部分)で、主人公の丹羽助太郎を演じたのは四世團十郎でした。
のちに、七世團十郎がその舞踊部分だけを『蛇柳』として独立させ、歌舞伎十八番の1つに選びましたが、初演以来上演が途絶えていたため、その時点で既に詳しい内容が分からなくなっていました。七世團十郎は『蛇柳』の復活を試みたと伝わりますが、上演は叶いませんでした。
この度の『蛇柳』は、平成25年に新たな命が吹き込まれ、復活上演された作品で、物語の舞台は高野山。蛇柳のもとに丹波の助太郎という男がやってきますが、その正体は蛇柳の精魂。かつて弘法大師によって柳に替えられた大柳が、恨みを晴らすために現れたのです。そこに登場するのは金剛丸照忠という勇者。「押戻(おしもどし)」という演出で、荒れ狂う蛇柳の精魂を鎮めます。
目の離せない展開に、最後には豪快な押戻しも見せる、みどころたっぷりのひと幕に観劇されたお客様も満足してお帰りになりました。