2017年10月21日(土)
市川海老蔵公演「古典への誘い(いざない)」
今年も成田国際文化会館で、成田市御案内人である十一代目市川海老蔵さんの公演が行われ、心待ちにしていた大勢の方が早くから集まり、開場前には長蛇の列が出来ていました。
入り口の脇では、成田国際高校筝曲部の演奏があり、ロビーには心地よい筝の音色が響いていました。
身替座禅(みがわりざぜん)
あらすじ
- 山蔭右京・市川海老蔵
- 太郎冠者・市川九團次
- 侍女千枝・大谷廣松
- 奥方玉の井・片岡市蔵
奥方玉の井(片岡市蔵)の目を盗み、恋人の花子との逢瀬を叶えようと考えた山蔭右京(市川海老蔵)は、持仏堂に籠って座禅をすると言い立て、太郎冠者(市川九團次)を身替りとして衾を被せて出かけて行きます。しかし、直ぐに玉の井の知るところとなり、太郎冠者の代わりに衾を被った玉の井は夫の帰りを待ちます。
一方、花子との逢瀬を叶えて戻った右京は、逢瀬の様子を語った上、衾を取り払います。そして、恐ろしい形相の玉の井を見て逃げ出す右京をどこまでも追って行く玉の井でした。
歌舞伎の人気演目で、能の狂言の演目にある「花子(はなご)」を歌舞伎にしたものです。
能や狂言を歌舞伎化した演目は松羽目物(まつばめもの)と言われており、正面に老松、左右には竹が描かれており、能や狂言の雰囲気を演出しています。
前日に行われた中学生歌舞伎講座で、海老蔵さんが初心者向けだと言っていただけあって、表情や所作で内容が理解出来る分かりやすい演目でした。
奥さんもいる立派な大名がどうにか遊女に会いに行こうとする話ですが、右京の奥さんの見た目もインパクトがあり、やきもち焼きのところなど共感される方も多かったのではないでしょうか。また、太郎冠者との面白いやり取りに会場は笑いが絶えませんでした。
男伊達花廓(おとこだてはなのよしわら)
あらすじ
- 五郎蔵・市川海老蔵
- 新造・大谷廣松
- 新貝荒蔵・市川九團次
御所五郎蔵(市川海老蔵)は江戸一番の男伊達。侠気溢れる粋な男振りの五郎蔵が向かうのは、大勢の客で賑わう吉原仲之町。五郎蔵がこの廓へやって来たのは、恋人の傾城から文が届いたゆえ。その傾城との馴れ初めをはじめ、折々に交わす逢瀬の様子を語る五郎蔵。そこへ五郎蔵に遺恨を抱く男伊達たちが現れ、恨みを晴らそうと打ちかかります。しかし、五郎蔵はこれを難なく退け、恋人の許へと向かうのでした。
河竹黙阿弥の名作「曽我綉侠御所染(そがもようたてしのごしょぞめ)」の後半部分、通称「御所五郎蔵(ごしょのごろぞう)」が元になっている演目でした。
衣裳もとても華やかでヘアスタイルも特徴のある髪型でいかにも腕っぷしが強そうな装いです。立ち回りが大変美しく、身替座禅とは打って変わって会場は息を呑んで見入っていました。
アンコール
終わっても拍手が鳴り止まず、アンコールで2度も出てきてくださいました。