10月20日(金)、成田市の中学生のために十一代目市川海老蔵丈が講師になり、成田国際文化会館にて第2回 中学生歌舞伎講座が開かれ、計383名の生徒が参加しました。当日の模様を報告いたします。
第2回 中学生歌舞伎講座は、巡業中の公演「古典への誘い」を観ながら歌舞伎について色々教えていただきました。
「古典への誘い」では2つの演目があり、まずは見どころについて教えていただきました。
身替座禅は、新古演劇十種の1つで音羽(おとわ)屋さんのお家芸の1つであり、簡単に言うと不倫のお話。
妻がいるのに愛人がいる男の話で、愛人に逢いに行きたいのに妻が離れてくれないので、身替りを用意して愛人に逢いに行くが、妻にばれてしまい妻が身替りになって待っているところに帰ってきて、気付いてない男は愛人と会ってきた内容を話してしまうというユニークな演目。
男伊達花廓は、江戸の男の粋を表した立ち回りを美しく見せるのが見どころ。
2作品とも歌舞伎としては見やすい演目とのことでした。
海老蔵さんは前日まで熊本県の八千代座、高知県の弁天座と公演をしており、その時の映像をダイジェスト版で観せてくれました。
小泉市長は実際に歌舞伎座で観劇したことがあり、全てが伝統に裏打ちされており、一つ一つの表情、所作、長年培われてきた稽古と舞台での経験でのたまもので一朝一夕では出来ない芸だと思ったそうです。
歌舞伎座ではイヤホンガイドがあり、解説を聞きながら観ることが出来るが、今回は海老蔵さんの解説が聞けるということで大変喜んでおりました。
司会者の「ここを特に観て欲しいというところは?」の質問に対して、海老蔵さんは「特にない」との回答で、演劇は自由なので観たいところを観ればよく、音楽が気持ちよければ寝るのもよいとのことでした。
海老蔵さんも、中高生の時は歌舞伎を観に行っても十中八九寝ていたそうです。
テレビや映画で俳優さんがアップで映る時があるが、歌舞伎では見得というのがあり、観る力がある人にはよりよく見えるし、観る力があまりない人には見えないので自由に観てほしいとのことでした。
歌舞伎を観る時のお作法もないそうです。
今回の映像の編集のポイントは、見どころと言われているところをスタッフが編集したそうです。
海老蔵さんは自分のことをあまりかっこいいと思っていないし、かっこいいところばかり寄せ集めるとおかしくなってしまうので編集はスタッフに任せているそうです。
小泉市長にとっての海老蔵さんの魅力は、華があり色気があるところだそうです。男伊達花廓は色気のある役者がやってこその演目だと思っているそうです。
次に、質問コーナーがありました。
普段の話し声は、ほとんど喉で喋っているが、歌舞伎の公演は1ヶ月のうちに25日間もあり、ずっと喉で喋っていると声が潰れてしまうので、お腹から声を出しているとのことでした。
お腹から声を出すとだんだん歌舞伎っぽく聞こえるそうです。
海老蔵さんは、「カブキブ!」というアニメについては知らなかったようですが、「よいと思う」と即答でした。素人が歌舞伎をやることが大事だと思っているそうです。
坂東玉三郎さんや片岡愛之助さんのように歌舞伎の家に生まれたわけではないけど歌舞伎をやりたくて歌舞伎役者になった人もいるので、歌舞伎はその家に生まれないと出来ないと思われているが決してそんなことはないそうです。
この前訪れた石川県小松市の小中高生は「勧進帳」を上演したりしていて、役者だけでなく三味線、長唄、鼓などもみんなで演奏していて、そういうのはぜひやってもらいたいそうです。
歌舞伎には全ての人に対応出来る演目はないそうです。
身替座禅は分かりやすい。あとは、「四の切」など早替りがあるものや、アクロバティックなもの、スーパー歌舞伎など新しいものは初めて観る人には分かりやすいそうです。
怒ってたりする時に白目を出すと誇張されるので遠くの人にも伝わるような演出方法だそうです。
歌舞伎役者の家に生まれるとお腹の中にいる時からずっと歌舞伎を聞いているので古典は覚えているそうです。古典は覚えようとして覚えるのではダメなようです。
新作で300個ぐらい台詞がある場合は一週間弱で覚えるとのことでした。
最後に特別バージョンの隈取うなりくんが、エントリー中のゆるキャラ®グランプリでの投票のお願いに登場しました。
海老蔵さんも応援に協力してくださり、すぐに舞台上でブログを更新してくださいました。
海老蔵さんから一言いただき終了しました。
「雨の中、みなさまとお会い出来て大変嬉しく思います。みなさまと歌舞伎に携わることが出来て、また、成田市の案内人としての活動もしながら次回は舞台でお会い出来たら嬉しいなと思っています。」
皆様のおかげで、ゆるキャラ®グランプリ2017のグランプリに輝くことが出来ました。たくさんのご協力ありがとうございました。