成田市御案内人活動報告

2019年4月25日(木)
中学生歌舞伎講座

4月25日(木)成田市御案内人である市川海老蔵さんをお招きして、成田市の中学生や地域の方々を対象とした、中学生歌舞伎講座が成田市立久住中学校で開催されました。

久住地区と市川宗家のご縁

成田市の中でも久住地区と市川宗家のつながりは深く、下総国幡谷村(現成田市)に初代市川團十郎曽祖父の堀越十郎が移り住んだことからと考えられています。十郎は、もと甲斐国武田家の家臣で、後に相模国小田原城の北条氏康の家臣となりました。その後、小田原城落城(1590(天正18年)年)後に幡谷村に移り農民となりました。その後、十郎の子の重右衛門が継ぎましたが、その長男重蔵は農業を嫌い江戸に出て、そこで生まれたのが初代團十郎であると言われています。

成田市幡谷・東光寺境内にある市川團十郎先祖居住の地碑は、十一代目團十郎襲名の2年後の1964(昭和39)年に建てられました。地元の方によると、当時の国鉄久住駅の駅長が熱心に呼びかけたこともきっかけとなり、十一代目團十郎と九代目の孫にあたる市川翠扇が、成田山や東光寺と協議をして建立したと言われています。その地鎮祭が1964(昭和39)年6月28日に行われ、十一代目は家族と一緒に見え、ご先祖が住まわれた場所を揃って見て回られました。
除幕式は、初代の父堀越重蔵の命日にあたる24日に行われ、参列者が十一代目團十郎とその家族や一門の方々、市長を始め地元の人々、総勢百数十人が参列されました。

海老蔵さんの挨拶では「成田市御案内人として成田市の方々と触れ合えることを楽しみにして参りました。」とお話しくださいました。
また、今回の講座では歌舞伎の中でも「立廻り」をテーマとして、海老蔵さんのほか、成田屋一門から市川新十郎さん、市川新次さん、市川新八さんにもご参加いただきました。
新十郎さん、新次さん、新八さんは、海老蔵さんとともに舞台に上がっている現役の歌舞伎俳優です。

立廻り体験

立廻りは劇中での闘争場面のことをいい、観客を楽しませる重要な見せ場となっています。立廻りはいくつかの決まった型をつなぎ合わせて作られていますが、今回は代表的な「山形」、「天地」、「唐臼」の型を中心に披露していただきました。

中学生の代表者5名がステージに上がり、全員で型を練習した後、実際に立廻りをやってもらいました。
一対一で行うものもあれば、一人に大勢で掛かるものまで様々な種類があり、立廻りの最中にはツケが打たれて場を盛り上げ、見得(みえ)やトンボと呼ばれる宙返りも行われ歌舞伎の中でもここ一番の見せ場と言われているそうです。

体験の後は、新次さん、新八さんに立廻りをご披露していただきました。

新十郎さんは「今回の体験をしてみて、少しでも歌舞伎に興味を持ってもらい、今度は是非、歌舞伎を見に足を運んでもらえれば。」と思いを語ってくださいました。

体験された中学生の感想

「ちょっと難しかったが貴重な良い経験ができてとても良かった。見得の部分が難しかった。」
「動きが複雑だったが、舞台上で戦っている様子がうまく表現されていて面白いと感じた。」
「暗闇に居る様子など、舞台の雰囲気作りがうまく、歌舞伎はすごいと思った。」

ステージに上がった5名の皆さんにとって、とても有意義な経験となりました。

質問コーナー

海老蔵さんが中学生の質問に答えてくださいました。

Q:現在3年生になり、将来の夢や受験のことで悩んでいるのですが、海老蔵さんはどうでしたか?
A:中学生から高校生にかけて本当に歌舞伎を続けていくべきなのか悩んだ時期もありました。自分の進む道へ一歩踏み出すことは難しく、誰もが悩むと思う。ただ、今の時期はその一歩を踏み出すための準備の期間なので、悩むことは良いことだと思う。

Q:歌舞伎俳優になったきっかけは?歌舞伎俳優になって一番大変だったことは何ですか?
A:十代の頃、歌舞伎を演じている祖父の映像を見た時に、あまりの格好良さに衝撃を受けたことがきっかけです。大変な事は、普段のお稽古や、演じる時は重たい衣裳を身に付けたりすることもあるので、体調面に日々気を配っています。

Q:海老蔵さんにとって歌舞伎とはなんですか?
A:私は日本の伝統文化の中の歌舞伎というものに属していて、36年間続けてきたので、私の人生そのものだと思っています。

Q:一つの舞台をやるのにどのくらいの期間稽古をするのですか?
A:若いときは長いです。何年も稽古をしています。ただ、歌舞伎は伝統芸能のため、決まっているところも多くあり、それを何年間もかけて稽古しているので自然と頭の中と身体に染み込んでいます。ですので、例えば来月の團菊祭では、本番前にみんなで稽古をして合わせて、短期間でも本番を迎えることができます。

Q:海老蔵さんにとって成田市とはどのようなものですか?
A:私は東京生まれ東京育ちの都会っ子なのですが、成田市とは市川家先祖代々ご縁があり、もう一つの故郷だと認識しています。 その成田市がより良くなるためには何をすべきか、今みんなで話し合っています。精一杯この成田市がより良くなるように、みんなの未来が楽しくなるように頑張りたいと思います。

最後に海老蔵さんから「成田市御案内人として成田市がより良くなるように頑張って参りますので、今後ともよろしくお願いいたします。本日はお招きいただき誠にありがとうございました。」とコメントをいただき、みなさんで記念撮影を行い、終了いたしました。

海老蔵さんのブログに今回の中学生歌舞伎講座の紹介をしていただきました。

「久住中学の皆様」
https://ameblo.jp/ebizo-ichikawa/entry-12456728007.html

「お招きいただきありがとう御座います」
https://ameblo.jp/ebizo-ichikawa/entry-12456739574.html

「ありがとう」
https://ameblo.jp/ebizo-ichikawa/entry-12456740506.html