成田市御案内人活動報告

2015年10月21日(水)
十一代目市川海老蔵丈
中学生歌舞伎講座

10月21日(水)、成田市の中学生のために十一代目市川海老蔵丈が講師になり、成田市文化芸術センタースカイタウンホールにて歌舞伎講座が開かれました。当日の模様を報告いたします。

海老蔵さんが登場して、まずは質問コーナーが始まりました。

続いて、お弟子の新次(しんじ)さんと新八(しんぱち)さんが登場して、最初に附け打ち(つけうち)(※1)がない場合の立ち回りをしてくれました。2回目は附け打ちがあり、海老蔵さんがとても分かりやすく解説をしてくれました。

海老蔵さんと中学生のみんなで一緒に見得を切る練習もしました。

次は、新次(しんじ)さんによる隈取り(くまどり)(※2)実演が始まりました。隈取りの説明をしながら、質問コーナーも再開し、見事な筋隈(すじぐま)(※3)の隈取りが完成しました。

続いて、隈取り体験をかけてジャンケン大会が始まり、男の子と女の子が1人ずつ選ばれました。男の子は「一本隈(いっぽんぐま)(※4)」の隈取りを、女の子は「むきみ隈(むきみぐま)(※5)」の隈取りをしてもらいました。

最後にみんなで写真撮影をして、歌舞伎講座は終了しました。

感想文

今回は、貴重な体験をさせて頂き本当にありがとうございました。最初は、歌舞伎自体には全くと言っていいほど関心がなく、あの有名な市川海老蔵さんに会えるならとりあえず応募してみようという気持ちでした。そして、その応募が通りいよいよあの市川海老蔵さんに会える時がやって来ました。初めて海老蔵さんを見て率直に思った事は、思っていたより大きかったことです(笑)。そして、トークが始まり、司会者の方が海老蔵さんの紹介などしていると海老蔵さんが「かたい事はいいからどんどん進めよう。」と司会者の方に言っているのを聞いて、すごく「自分」というものを持っている方だな、とあらためて海老蔵さんの人の大きさを感じました。

そして、なんといっても今回の歌舞伎講座で思い出に残ったのが、実際に歌舞伎のメークをさせて頂いたことです。こんな事は一生に一回あるかないかぐらいだと思うので、一生の思い出になりました。本当に嬉しかったです。そして、今回の歌舞伎講座を機に歌舞伎に興味が出たので、またこの様な機会があれば参加したいですし、本場の歌舞伎も見てみたいと思いました。今回は本当にありがとうございました。

稲垣 諒

感想文

私がこの講座に応募した理由は、市川海老蔵さんという歌舞伎界の一流の方に会えるなんて一生のうちにも無いかもしれないと思ったからです。

歌舞伎を見たことが無かったので、いくつかの歌舞伎の立ち回りを見せていただき、面白かったです。特に暗闇という設定の場面は、動きがユニークなものでした。

それから、隈取りの体験ができるじゃんけんに参加したら勝ってしまいました。まさか自分が化粧をしてもらえるとは思わなかったのでうれしかったです。白いおしろいはいい香りがしました。

妹も参加していて、質問をしていました。質問は「体操が上手くなるためにはどんな心がけをすればいいか」という質問でした。海老蔵さんの答えは、「ひたすらやること」でした。その答えを聞いて、やっぱり海老蔵さんはすごいと思いました。海老蔵さんも、子どもの頃に歌舞伎を嫌になった事があった時、楽しいところを見つけるようにしていたと話していました。

夢についても、「なりたい」ではなく、「なるんだ」と覚悟を決めれば行動が伴ってくると言っていました。私はトランペットを吹いていますが、なかなか上手く吹けない時は、「吹けなかったらどうしよう」とか余計なことは考えずに、楽しいところを思い出して、ただひたすら吹くようにしようと思いました。お話を聞いていくうちに、海老蔵さんはブレない心の持ち主だなと思いました。

この日の講座は、歌舞伎の事だけでは無く、これからの人生についても学ぶことができました。やっぱりたくさんの人から注目されている人は、私たちよりも多くの経験をしているのでたくさんのことを知っているのだなと思い、講座へ参加できてよかったと思いました。

木村 真緒

※1 附け打ち(つけうち)

舞台【ぶたい】の上手【かみて】の端【はし】で、2本の木を板に打ちつけてバタバタと音を出すことをいいます。見得【みえ】の瞬間【しゅんかん】を強調したり、駆【か】け出す時の足音や物が落ちた時の音を際立たせるために打たれます。

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※2 隈取り(くまどり)

歌舞伎独特の化粧法【けしょうほう】です。主に時代物【じだいもの】に登場する人物に使われます。もともとは、顔の血管や筋をオーバーに表現するために描【えが】かれたといわれています。隈取は、役柄【やくがら】によって使われる色が決まっています。

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※3 筋隈(すじぐま)

歌舞伎十八番【かぶきじゅうはちばん】『暫【しばらく】』の主人公、鎌倉権五郎【かまくらごんごろう】もこの隈取【くまどり】をしています。筋隈は、荒事【あらごと】の代表的な隈取です。この他にも、歌舞伎十八番の『押戻【おしもどし】』や『矢の根【やのね】』の曽我五郎【そがのごろう】などにも使われています。

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※4 一本隈(いっぽんぐま)

荒事【あらごと】の役に使われる隈取【くまどり】です。図のように額の両脇【りょうわき】から、目尻【めじり】の横、頬【ほほ】にかけて紅で一本の筋を取ります。そのため一本隈と呼ばれます。一本隈は、筋隈【すじくま】に対して比較的【ひかくてき】やんちゃな役に使われます。

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※5 むきみ隈(むきみぐま)

この隈取【くまどり】は、若々しく正義感の強い役に多く使われています。例えば、『助六【すけろく】』の主人公である助六や『寿曽我対面【ことぶきそがのたいめん】』の曽我五郎【そがのごろう】などです。

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